最近覚えた言葉
落語や浪曲、講談、種類は違うけれど、これらの演芸にふれているとその世界ならではの言葉に出合います。講談もしかり。最近わたしが講談で出合った言葉を覚書かわりに書き留めておきます。
前席・後席(ぜんせき・ごせき)
以前、芸能史(だったかな?)を勉強している友人から「読み方はわからないけど、講談で前席・後席って聞いたことある?」と問われたことがありました。なんでも、昔の寄席ではトリの演者が二度高座に上がることがあり、それを前席・後席と言っていたらしいのです。
落語の寄席で何回か二度上がりに遭遇したことがあります。それは、出番の演者がやむをえず休演となってしまい、トリの演者がその穴を埋めるためトリの2~3席前にもう一席高座を勤めたり、同じ色物さんがもう一度上がったり、という偶発的なものでした。はじめから二度上がりが取り決められた寄席番組は聞いたことないなぁ?と、友人の話には首をひねりました。
しかし、先日足をはこんだ神田阿久鯉さんの会(寄席はなく単発の講談会)で、「前席(ぜんせき)はお約束の怪談話を、仲入りをはさんだ後席(ごせき)には~」とおっしゃられていて、はっ!前席・後席!!と前述の友人の問いを思い出したのです。
一度目の上がりを前席、二度目の上がりを後席という、初めてのリアル体験でした。しかし、昔ながらの講談の寄席(釈場)で実際前席・後席という興行があったのか?とても興味を覚えました。どこかでそんなお話を聞けたりしないかな?
御膝固め(おひざがため)
これは講談の開口一番、前座さんがおっしゃっていました。「御膝固めに一席勉強させていただきます」とか、そんな感じに言っていたような…(記憶があいまい)。
前座さんは開演後、もしくは昔ながらの寄席や演芸会の慣習によっては開演前に高座にあがります。そのため客席がまだ落ち着かず、会場に入ってくるお客さん、うろうろ席を探すお客さん、飲み物やお菓子を開けたり、なんとなくわさわさした雰囲気です。「お席の落ち着きますまで」と言う意味で「御膝固め」と使っているのかなぁ?と考えました。椅子席ではなく桟敷オンリーの昔の釈場を彷彿とさせる言葉で、これから講談を聴くんだな!とワクワクしてしまいました。
講談ならではの言葉にもっとたくさん出合って、ときめきたいと思いました!