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  • わたし

夏の終わりの大阪神戸講談記

猛烈な勢力の台風が九州に近づいている9月下旬の連休です。

みなさま、安全にお過ごしでしょうか?


9月の上旬、遅い夏休みを利用して大阪、神戸へ行ってきました。

予約なしの自由気ままに出合った講談を振り返ってみたいと思います。



2022年9月9日(金)「365日千鳥亭」252日目 千鳥橋・此花千鳥亭

旭堂南龍「義士銘々伝 近松勘六」

旭堂小南陵「太閤記 安田作兵衛」

桂雀太「代書」

近松勘六、これは昨年3日連続で聴いたお話。今回たまたまの偶然のめぐり逢いで二度目。前回聴いた後、初めて行った泉岳寺の義士木像館で、近松勘六だけが修理中で見られずズッコケたことまでがセットの思い出! 小南陵さんの太閤記は二代目南陵の速記から起こしているとのこと。速記でのあやふやさや内容のズレなど、わたしも経験あることなのでウンウン!と思いながらお聞きした。お話してみたいな。



2022年9月9日(金)「南湖の会」玉造・百年長屋

旭堂一海「三十三間堂通し矢の由来(上)」

旭堂南湖「盛岡漫遊記」

旭堂一海「三十三間堂通し矢の由来(下)」

旭堂南湖「親鸞聖人御一代記」

旭堂南湖「蠅男(原作:海野十三)」

南湖先生が再び探偵講談を読まれているとのことで、さっそく聴ける日が来るなんて! 探偵講談が第一の目的ではあったものの、盛岡でのお話もたのしく、親鸞上人の幼少時代も初めて知った。松若丸「死とはなんですか?」、吉光女「もう会えないということです」など、胸に残る。

一海さんは武芸物。年若といえど武芸者の厳しい覚悟の話。わたしはいま速記で宮本武蔵を読んでいるので、自然と弓術の大蔵院宮内が頭に浮かんだ。どちらが強いだろうか?

海野十三、江戸川乱歩と同時代の「新青年」の作家くらいの認識で、実は読んだことはなかったのですが、これがすこぶる奇妙で摩訶不思議、場面も次々と変わりスピード感のある探偵ものでした。もっといろいろ聴きたい! 探偵講談、なんというパワーワード。



2022年9月10日(土)「365日千鳥亭」253日目 千鳥橋・此花千鳥亭

笑福亭智丸「手水廻し」

旭堂南龍「義士銘々伝 近松勘六」

毎日のことであれば、疲れやいろいろな障りがでるであろうこの企画。本当に尊敬しかない。片隅から応援しています。ハネて、前から行ってみたいと思っていた「御菓子司しょうふく」さんで苺大福をいただきました。わーい!



2022年9月11日(日)なみはや講談フェスティバル・朝席 神戸新開地・喜楽館

旭堂一海「曽我紋尽くし」

笑福亭たま「お通夜」

旭堂南鱗「水戸黄門漫遊記 牛盗人」

笑福亭学光「夢八」

旭堂南華「梅若丸」

旭堂南湖「赤穂義士銘々伝 赤垣源蔵徳利の別れ」

まさか来ることができるなんて。

一海さんの紋尽くしは一枚一枚カードをめくっていくかのような高まりがありますね。わたしはこういう描写たまらなく好きなんだなぁ。

南鱗先生!うれしいよ~。落語家さんに講談を教えたり、阿波踊り連で徳島に繰り出したり、先生は交友関係が広いのですね。

南華先生、なんだろう?と聴いていたらドキドキ…これは能「隅田川」では!ときめきとともに、梅若のあわれ、母親の消えることのない悲しみ。つらい。今度墨亭へ行った折にでも木母寺へお詣りしましょう。

朝席主任の南湖先生は赤垣源蔵。源蔵の一日のくだり、のんびりほがらかでありつつも隠された憂いのある調子から、一転、討入の描写への転調。公怨、討入という有無を言わせない急流に、落ち葉のような一個人が飲み込まれていくような印象。討入後の源蔵、満面の笑み、爽やかでありながら「未練だなぁ!兄に会いたかったなぁ!」という言葉に、なんとも言えないやるせなさを感じました。歌舞伎初演時の「仮名手本忠臣蔵」と「東海道四谷怪談」幕ごとの交互上演、含みを感じずにはいられません。ふと、この公演方法、講談で可能?と想像して鼓動が早くなる帰り道でした。



予想外の暑さにくたびれ、心痛めることもありましたが、

講談をたのしみ、おいしいものを食べ、中秋の名月(かつ満月)を神戸の夜景とともに堪能しました。こんなに講談に集中できるのも仕事や家事から遠く離れた旅先のおかげかもしれませんが、上方講談をたくさん聴けてうれしかったです。

また近いうちに来れますように!

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