2024.7 大阪の巻 後編
前編からの続きです!
千鳥橋から動物園前へ移動し、続きまして昼の部は
7月21日(日)
「福楽の底力 Vol.129」 於:動楽亭
笑福亭大智「看板の一」
桂福楽「借家怪談」
露の新治「雪の戸田川」
福楽・新治 トーク「ネタを忘れた時の四十八手」
-仲入り-
桂福楽「千両みかん」
福楽師匠のファンなんです!数年前に大須で「代書」を聴いて以来の。
今回この定例会に予定が合ってよかったです。しかも、かねてより高座を拝見したいと思っていた露の新治師匠がゲストとはうれしいかぎり。ほくほく。
大智さんは先日亡くなられた桂ざこば師匠との思い出話を。うんうん。ありがたい。初対面は入門前の突っ走っていた素人時代だったのですね。
福楽師匠の前席は「借家怪談」。関東でいうところの「おばけ長屋」。前半で切っての口演でしたが、この落語自体久々に聴きましたし、こういう噺をチョイスするセンスも好きだなと思うのでした。
さて新治師匠。ネタ出しはされていませんでしたが、「雪の戸田川」!福楽師匠が夏の噺「千両みかん」をネタ出しされていたので、新治師匠は冬の噺を持ってきたとのこと。こういう趣向たのしいですね。端正にたんたんと話がすすみ、クライマックスでは芝居がかり調子も見ごたえがありました。露の五郎兵衛という系譜にとても興味が湧きました。
対談のお題は「ネタを忘れた時の四十八手」。落語だからどうとでもなりますわな、というさらっとしたもので、とはいえ、新治師匠の「柳田格之進」で碁盤は出たのに碁石という言葉が詰まってしまって…というエピソードは聞いているこちらもヒヤヒヤしてしまいましした。仲のよいお二人らしく、話題は四方八方に。このトークでわたしは福楽師匠が安倍公房にご執心ということを知り、さっそく読んでみようと思ったのでした。
福楽師匠の後席は「千両みかん」。この落語のことを知っているつもりでいましたが、福楽師匠のを聴いて目が開らいたように感じました。ひとつだけ見つかったみかん、最初八百屋の主人はただで譲ろうとしますが、ぜひ払わせてください、というやりとりのくだり。ここを丁寧に。商人の心構えを示して前半のポイントとしていらっしゃいました。なるほど! サゲへ向けての装置ではない八百屋さん、なぜこのセリフがあるのか、という説得力がありました。
なんだか胸がいっぱい。大収穫の会でした。満足。
さぁ、次へ!
7月21日(日)
「旭堂一海ひとりごつ」 於:百年長屋
旭堂一海「難波戦記 真田の入城」
旭堂左燕「加藤清正 天下の催促」
旭堂一海「平家物語 頼朝の夜這い」
-仲入り-
旭堂一海「雨月物語 吉備津の釜」
やはり、その場所に、現場に行かなければ感じることができない、わからないことがあると思いました。ライブで聴く高座だけではなく、会場の雰囲気、客席の具合、本当にちょっとしたことを思い出してじんわりあたたかい気持ちになる会でした。
一海さんの講談は数回拝見したことがあるので、淀みない口跡、若者らしい明るさ、高座から感じられる気さくな雰囲気を知っていました。でも今回の会に参加して、その体力と番組構成のすばらしさを新たに追加。
一日三回公演の最終回である夜を選んだのは、「頼朝公の御夜這い」が目当てだったからです。春陽先生でこの読み物は聞いたことがあったのですが、一海さんが口演されることを知り、俄然興味が湧きました。また、難波戦記も聴きたい!吉備津の釜ってなんだろう?という色とりどりな読み物にワクワク。
左燕さんのリラックスした様子も大阪の、この会ならではでしょうか。
心地よい充実の疲労感でこの日を追えました。
玉造でやっとゆっくりごはん。
「やすきよ」名店でした。
(まだ続くのかよ!という長編ブログになってまいりました)
大阪三日目。
朝、何気にスマホを見ていたら…ん?新幹線、止まってる???
お昼頃には復旧のような情報だったので、遅延しても夜までには帰京できるかな…?
若干不安なまま予定通りホテルをチェックアウト。
7月22日(月)
「連続講談千鳥亭」 於:此花千鳥亭
旭堂南龍「左甚五郎 その21」
桂健枝郎「ろくろ首」
旭堂小南陵「真田三代記 信州合戦その2」
平日の昼なので、お客さんゼロだったらどうしよう…という少しの不安とともに昨日に引き続き千鳥亭。大丈夫でした、関西の講談好きさんたちにまじって鑑賞。
南龍先生の左甚五郎伝は今日の「陽明門の間違い」(下)をもって読み終わりだそうです。よいタイミングで聴くことができました。
初めての健枝郎さん、文枝師匠のお弟子さんとのこと。珍しいサゲの「ろくろ首」でした。いまどきの若者っぽいのに前座修行を4年もしたという、なんて偉いの!がんばっていますね(という謎のお母さん目線になってしまいました)。
小南陵先生の信州合戦、これから昌幸、信繁(幸村)と物語が続いていくとこを思うと途方もなくて遠くを見つめてしまいます…が、そこに挑む小南陵先生すばらしい。連続という企画にふさわしい読み物でもあるのだな、と。小南陵先生といえば、千鳥亭を開場したことをはじめ、必ずチャレンジというワードが頭に浮かびます。
さて、気になる新幹線。
おや?復旧がお昼から夕方に変更されているぞ…
まずはお昼を。
阿波座のカレー屋バンバン。以前からチェックをしていたお店ですが、営業日が限られているためやっと今回訪問することができました。
大阪のスパイスカレーが好きなのです。
カレーは副菜やソースなどで味の変化をたのしみながら最後までワクワクしながら食べることができました。あたたかい接客。
さてさて、新幹線…
今日中の復旧のみこみがなさそうな状況に…なんか、やばいのでは!?
喫茶店でひとり作戦会議。
決めた!延泊します!
今日の宿の手配、新幹線の乗車振替をサクサクとすませて。体力だけでなく気持ちの疲労も重なってきましたが、こうなったら楽しむしかないですよね。
ということで、夜は急きょ動楽亭へ!
7月22日(月)
第307回「旭堂南海の何回続く会?」 於:動楽亭
旭堂左燕
旭堂一海「名医・藪井玄意(七)」
立川志のぽん「紙入れ」
旭堂南海「浪花百人斬 船越重右衛門(八)」
307回!?
驚異的な継続を見せる会に軽い気持ちで来てしまったけど…と、やや焦りの気持ちが湧きあがりましたが、大丈夫。常連さんの多い会のようにお見受けしましたが、ステルス能力が高いわたしなのですんなり馴染みました(たぶん)。
ゲストには東京から立川志のぽんさん。なんでも南海先生にお稽古をつけてもらっているとか。何を習ったのだろう?気になります。
そして初めて来たのに「船越重右衛門」の大団円とは。なんかすみません。物語が複雑にからみあい、登場人物も多い、しかも途中で名前が変わったりして。という、最初から聴いていたらものすごい達成感だったろうな。南海先生の知識、口演の圧倒的な信頼感でした。たとえるならば、大船にのった気持ち。
行ってよかったです。
翌日、定刻通りの新幹線で帰京。
お土産にカールと満月ポンを買いました。
いろんな意味で、おつかれさまでした!
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