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今月の気になった読物「勧進帳」

  • 執筆者の写真: わたし
    わたし
  • 3月1日
  • 読了時間: 3分

今月気になった読物 2026年2月

「勧進帳」


シンポジウム「田邊コレクションと講談の現在」にて、登壇者のひとりである一龍斎貞橘先生の口演を聴きました。このシンポジウムでは、田邊孝治氏(「講談研究」編集発行、新潮社編集者)の所蔵していた講談関連資料と、現在進行形の講談を接続させた報告や座談会がありました。


講談には三代問答と言われるものがあるそうです。

・山伏問答 (講談「勧進帳」)

・鉢木問答 (講談「鉢木」)

・網代問答 (講談「徳川天一坊」)


1月のブログでは「網代問答」を取り上げました。そして今月、「山伏問答」である「勧進帳」を聴き、また能「鉢木」を観ました。狙っていたわけではないのですが、わたしは短期のうちに三代問答をさらっていたのだな(ホクホク。


さて、「勧進帳」。

作品としては能「安宅」→歌舞伎「勧進帳」→講談「勧進帳」という流れで成立してきたのだと考えていました。が、ちょっと違うという。

これはシンポジウムで知ったことです。講談に詳しい方は既知のことと思いますが、歌舞伎と講談、ここに交流があり講談の山伏問答を歌舞伎に取り込むことで今の歌舞伎の形になったというのです。


弁慶と富樫の緊張感ある問答、ここが聞きどころですよね。シンポジウムでの貞橘先生によると、一言一句のようでいて、状況やお客さんの様子を見て短くなってきているのだという。もっと長いのをくれよ!聴いてみたいよ!と思いつつ、長いと長いで脱落して途方にくれたりするのだろうか…


そして講談「勧進帳」では富樫の態度に含みを持たせているという。果たして富樫は義経一行の変装を見破っていたのか、否か。なぜ富樫は涙をうかべたのか?この余白が、勧進帳を聴いた後の余韻となっているように思います。

富樫の人物造形、解釈は能や歌舞伎、時代の移り変わりで変化がありそうで、講談以外の公演も観てみたいと思った次第です。


研究者の研究成果や、今活躍の講談師による読物についての解説、昔の釈界の話はたいへんおもしろく、知的好奇心を刺激されました。こういう機会、もっとあったらいいのに。そして田邊コレクションにみられるような昔の音源資料なども、ひろく一般にも公開される日がくることを願います。



余談ですが、能「鉢木」。

講談よりもリアリスティックで驚きました。貧するゆえに秘蔵の鉢木を燃やして、北条時頼をもてなした佐野源左衛門常世。そんな状況ゆえ、馬に栄養がいきわたるはずもなく、「よれによれたる痩せ馬なれば」、常世のはやる気持ちとは裏腹に鎌倉への道は思うように進まない。常世のボロい腹巻に錆びた長刀。

講談での駆け付けの場面を思い出すと、あの疾走感や勇ましさにはドラマ性があり、高揚感がありますよね。鉢木問答の前半と鎌倉駆け付けの後半の対比が鮮やかです。

国立能楽堂
国立能楽堂

今月のわたし講談トピック

・東京都港区というと、「港区女子」などのキラキラした言葉に引っ張られて、わたしとはあまり縁のない地域と思っていた。だけど、泉岳寺(赤穂浪士)、愛宕神社(寛永三馬術)、増上寺(め組の喧嘩)など講談にまつわる場所が多いことに気づいた。気づかせてくれた港区立郷土歴史館、ありがとう!建物もすごいよ。

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