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今月の気になった読物「稲生物怪録」

  • 執筆者の写真: わたし
    わたし
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

今月の気になった読物 2026年4月

「稲生物怪録(いのう もののけろく)」


旭堂南湖先生の「南湖の会」で聴きました。はじめて出会った読み物で、事前のチラシを見て「なんと読むのだろう?」と思っていましたが、口に出されてその読みを知るという。あるあるですね。

備後三次(現在の広島県三次市)に実在した稲生平太郎が出会う物怪・怪異の物語。連続読みの企画で(全3回?)、今回わたしが聴いたのはその第一回。稲生平太郎の生い立ちから怪異の始まりまで。

血のつながらない兄弟や隣家の元相撲取りが登場し、比熊山(ひぐまやま)での怪異の発端。いよいよ30日にわたる怪異のはじまり、はじまり、という序章。これからがさらに面白いのでは?と思わずにはいられませんでした。

しかも、怪しの物語を聴くにはちょうどいい日と場所でした。当日の大阪は朝からの大雨、昼過ぎには上がりましたが、ひんやりした空気に重く垂れこめた曇天。宵のとばりが降りる頃、百年を経た古民家(玉造の「百年長屋」)にオレンジ色の灯がともる。そこで語られるはるか昔の怪異譚。雰囲気込みで堪能しました。


しかし、ぼんやり上手なわたし。はじめて聴く物語の記憶もうすぼんやり…

そこで、思い出し作業にいい本はないかな?と探してみたところ、あるわあるわ! これまで知りませんでしたが、稲生物怪録はポピュラーなものだったのですね。江戸時代の国学者平田篤胤にはじまり、近代以降は巖谷小波、泉鏡花、現代では京極夏彦ほか多くの人々に影響を与えているとのこと。


『まんが訳 稲生物怪録』(筑摩書房 2021刊)

こちらの本を参考にしました。ちくま新書で「まんが」?と本を開くまで疑問でしたが、これがおもしろい! 巻末の解説も理解を助けてくれ興味が広がりました。

「稲生物怪録」は稲生平太郎の怪異譚の総称・通称のようなもので、様々な類本があるため、それらの成立過程により、内容や形態の違いがあるそうです(写本による誤記や欠損も含めて)。「まんが訳」としているのは、絵のみで構成された「稲生家妖怪傳巻物(いのうけ ようかいでん まきもの)」をカット割りし、説明や吹き出しをつけて、読みやすく再構成したものだから。類本に「稲亭物怪録(とうてい ぶっかいろく)」があり、こちらは挿絵付きで巻物や冊子体とまた種々あるが、文章がなく絵のみで構成されているのが「稲生家妖怪傳巻物」の大きな特徴。そのため、物語を知っている誰かが絵巻を見ながら解説したのではないかと。


え、ということは。

今回南湖先生による講談「稲生物怪録」は、この絵巻をわたしたちに講釈してくださっていると考えてもいいのでは! 本来の意味に立ち返るような「講釈」だ。なんとたのしいではないか。

関東から大阪という距離や経済面から次回の南湖の会で続きを聴くことはそうそう叶わないので、わたしは前記の「まんが訳」で引き続き「稲生物怪録」をたのしみたいと思います。「まんが訳」は今のところ「踏み石の怪」の石の顔がなんとも愛嬌があって好きです。



「稲生物怪録ゆかりの地、比熊山の山頂に登ろう!」

三次市の観光サイトが誘ってくるよ~

三次もののけミュージアムも行きたいよ~(稲生物怪録の展示があるらしい)

そしたら芸備線も乗れるよ~

と周辺情報にも夢が広がりました。



今月のわたし講談トピック

・一龍斎貞司さんのXのプロフィール欄、「好きなもの/師匠、フルーツ、時計、バイク」で「師匠」が入ってるのが好き

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