今月の気になった読物「新吉原百人斬」
- わたし

- 6月6日
- 読了時間: 3分
今月の気になった読物 2026年5月
「新吉原百人斬」次郎吉編
2026年5月21日(木)
新宿講談会夜席「銀冶・琴凌俥読み『新吉原百人斬【次郎吉編】』」@新宿永谷ホール
宝井琴凌「お信殺し」
田辺銀冶「お紺馴初め」
宝井琴凌「次郎吉故郷帰り」
田辺銀冶「お紺殺し」

おもしろかったー!
これに尽きる。
そして、これまで断片的なストーリーしか知らなかった「新吉原百人斬」を発端から聞けたことは収穫。
次郎吉(後の次郎兵衛)の流転、悪事、転落、そして有名な「お紺殺し」。息子次郎左衛門に因縁因果が巡り巡り…と次郎左衛門編へと話が続く。
今回の口演を聴き、もう一度自分で物語をなぞりなおしたいと思ったが、講談の資料見つけられず…
記録資料が乏しい、講談好きがぶち当たる壁ですよね。落語だったら音源や書籍で珍しい噺もある程度追えるけれど、講談は本当にそれが少ない。実演された高座の、その1回をどれだけ聞き取れるかにかかってくるとつらいですね。あれこれ考えず、物語の流れに身を任せる分にはたのしい!でいいのだけれど。言語化して記録しておこう(感想を書いておこう)となると、「あれ?次郎吉の2番目の奥さんの名前なんだっけ?」ということが頻繁に起こる。これ、講談あるあるでしょうか? わたしがぼんやり上手のせいもありますが。
それはひとまず置いておいて。
この読物のなかでも有名な「お紺殺し」については、わたしは上方講談で馴染みが深い。記録をさかのぼってみると、
2015年旭堂南左衛門「新吉原百人斬り お紺殺し」
2016年旭堂小二三(現・小南陵)「新吉原百人斬り お紺殺し」
2017年神田松之丞(現・伯山)「吉原百人斬り お紺殺し」
以下略
南左衛門先生で初めて「お紺殺し」に出会い、鷲掴みにされた。そして2回目も上方講談で。それゆえ佐野次郎兵衛ではなく、紀州屋治右衛門(でよい?)。「お紺殺し」は戸田川ではなく、紀ノ川。後半は怪談の要素が強い展開で馴染みがある。
今回、お紺を殺した後の船の場面などはじめて聴いたと思う。そして後半が怪談的にはならず、はじめての展開にどうなるどうなると食らいついたわけです。
あと言わせてほしい、次郎吉がクズすぎる!
あれほどあだっぽかったお紺が、着る物にも気遣えない生活となり、病を得て気弱に、次郎吉の言うがままになってしまう哀れさを描いた銀冶先生でした!(「鼻の障子が抜ける」って表現が伝わり過ぎてゾッとした…)
銀冶先生のおおらかで闊達ときに繊細、琴凌先生の明瞭で膂力のある読み口に、物語のおもしろさが縦横無尽に広がってあっという間の2時間でした。
そして、正岡容は「吉原百人斬り」(青空文庫で読めます!)の中で、神田伯龍を絶賛しているわけですが、ここで正岡容は伯龍の仕草に注目しています。登場人物のひとりである栄之丞の色気ある仕草、その仕草の典拠をずばり言い当てるという。講談にしばられず演出材料を吸収していた様子がうかがえて興味深かかったです。
これまで講談で仕草を気にしたことはなかった。釈台や張扇の制約があるので、目に留まるような工夫はなかなかできないのではとも思うが、正岡容の文章を読んで、こういう観点があるのかという発見がありました。
秋に予定されている「新吉原百人斬」次郎左衛門編がたのしみです!
今月のわたし講談トピック
・連続講談千鳥亭800回目到達、偉業!
・元リアルキッズの安田さん、いまは上方講談で活動しているのか
・講談協会の「ご贔屓連」ってめちゃくちゃお得
・琴人さん、落ち着いて誠実な感じの高座がいいですね




















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