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森暁紅/著『芸壇三百人評』

なにげなく桃川如燕を追っている途中で見つけた本をご紹介。


森暁紅/著『芸壇三百人評』明治40年(1907年)刊

※国会図書館デジタルコレクションにリンクを張っています。

インターネット公開(保護期間満了)していますので、ぜひご覧になってみてくださいね。


著者の森暁紅(もり ぎょうこう)は明治から昭和期の編集者、演芸記者。

落語家、講談師、浪曲師、俳優など、芸人300人についての短評が書かれています。何が面白いって、とにかく芸人評価が厳しい!ばっさばっさと斬っていきます。とはいっても、酷評するばかりではなく、評価すべき芸人はちゃんとほめています。これだけ書けるのですから、相当数の場数を踏んで芸を見聞きして評価をしていると思われます。


少し内容をご紹介しますと、

桂文楽「(前略)話口と云い、音曲と云い中々に捨て難い茶味が有ツて、踊りは又あざやかなもの(中略)

是れ等をこそ話し家の粋と思ふが、人はさまでに買はざるべし。」

春風亭柳朝「(前略)一體全體どう云ふわけで此人が大看板でございましょうネ、ヤレヤレ此頃若返って芝居話ときたら有難過ぎて涙がこぼれる」

一心亭辰雄「(前略)節に言葉に其情味津々として湧き出る處、今日の浪花節界に単り超然として郡を抜けり。」

桃川如燕「男前は宜し、風采は立派なり、さらば今日の大家たる價値は充分也、読み口は平凡の上乗なるものとでも云ふべく、調子を張る時得意らしく含み聲にするのは量見違い也(後略)」

神田伯鱗「得意で新しい古際物を振廻はすが、ほどけて結ばらぬ紐解け講談、第一風采からがダラシが無し、すべてをもう少しキリリッとし給へ。」


100年以上も前の演芸界や芸人さんの雰囲気が少しでも感じられますでしょうか。有名無名が並んで、今では名前も聞かなくなった芸人さんについても、活き活きと伝わってくるようです。



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