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『実録天保水滸伝』

講談「天保水滸伝」について、参考資料のご紹介です。


野口政司/著『実録天保水滸伝』1973年刊(自費出版)


1973年に刊行され、2005年時点で四版(刷?)が発行されています。

野口氏による自費出版のようです。わたしは東庄町にある天保水滸伝遺品館で購入しましたが、いくらで購入したか失念…。

内容は、天保15年8月6日に起きた飯岡助五郎一家による笹川繁蔵一家への殴り込みにいたる事情や流れを主軸に、主要人物の人となり、助五郎と繁蔵の関係性、当時の農民の暮らしなどがまとめられています。

各ページの写真のほか、笹川の地図、岩瀬七右衛門家系図、年表等の資料も付され、講談だけではなくもう少し詳しく天保水滸伝について知りたい!という方にとってはうってつけの一冊になると思います。


例えば、最終話「三浦屋孫次郎の義侠」に登場する孫次郎は飯岡助五郎の親戚にあたる、と講談の中で紹介されていますが、この本にもそのことがもう少し詳しく触れられています。

「一家は助五郎の妾腹の子堺屋与助、助五郎と親戚に当たる石渡孫次郎、永井の政吉この三人が中心である」と言及。この石渡孫次郎が三浦屋孫次郎に当たります。助五郎の本性は石渡。姓が同じですね。


講談天保水滸伝については、江戸の講釈師宝井琴凌(たからい・きんりょう)の作であり、明治の初期に至っては近代の名人と言われた神田伯山もこれを語りより一層喧伝されて行った由。しかし、天保水滸伝を最も有名にしたのは二代目玉川勝太郎(たまがわ・かつたろう)の浪曲であるとのこと。豪快にして沈痛そして重厚な読み口は「利根に一雨来そうな」と謳われ、その名調子で一世を風靡するに至る。

「利根に一雨来そうな」とは、なんてしびれる!


このように詳しく調査し丁寧に執筆している著者の野口氏とはいったいどんな人物なのでしょう?

残念ながら著者紹介がないので詳しくは知りえないのですが、あとがきの文中に地元の人物であることがうかがえる記述がありました。

「今更どちらが強いとか弱いとか言うことよりも真実はどうであったかを多くの方に納得して頂く為にも地元としてより詳しく調査する責任があると考えました」

「私自身繁蔵の生家の近くで育ち小さい頃から年寄りから昔話を聞き少なからず興味を持っておりました」

また、地元の宮司や住職、元小学校校長、岩瀬七右衛門家の系譜に当たる方、地元遺跡保存会の方々への感謝が述べられています。


本というより手軽な冊子という風情ですが、多くにみなさまに手に取ってほしい一冊と思う次第です。

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