今月の気になった読物「伊豆味噌」
- わたし

- 3 日前
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今月の気になった読物2026年7月
「徳川天一坊 伊豆味噌」
神田春陽先生「徳川天一坊」墨亭の会、神田伯山先生の「徳川天一坊を勉強する会」で拝聴しました。全20話中、第18話にあたりいよいよ大詰めも近い。召し捕りの前段として、本物の御落胤から偽物へと裏返るそのいきさつを、老中伊豆守→将軍吉宗→水戸殿徳川綱條へ言上するくだりだ。
将軍、副将軍、老中、江戸町奉行という早々たる顔ぶれながらも、その身分格式、職位の境界は厳格だ。それゆえ、言葉使いはもちろんのこと、言い方や言葉の選択によっては処罰が下される結果を招く。そのへんの事情をつまびらかにし、かつ物語の流れを止めない、非常にコントロールされた一話だと気づく。一言一句に集中。
そして身分だけではなく、登場人物の人柄も薬味となっている点も。ユーモアや機知、懐の深さが見られ、それぞれの魅力に改めて気づかされる。伊豆守はやっかいで腹立たしいと思っていたが、この一話を聴くと「もう、しょうがないなー」と愛すべきキャラクターに変身だ。このへんは演者の力量のような気もする。
言葉使いでいえば、将軍を頂点とする謙譲、謙譲、謙譲の話法。特に語末の処理、舌が攣りそうな「~奉り候」的な連続。丁寧語ですら怪しい自分の日本語が心配になってくる…
このように、召し捕りまでのつなぎの一話であるようでいて、非常に緊張感のある一話だ。(常々「伊豆味噌」って難しそう、と思っていた要因はこのへんにあるのかも)
そして謎めいた「伊豆味噌」という内題。
伊豆は伊豆守を指しているのだろう。
では味噌は?
<デジタル大辞泉>
味噌を付ける
失敗する。また、失敗して面目を失う。「たった一度の不祥事で業績に―・ける」
<日本国語大辞典>
ちょうじゃ の 脛に味噌をつける[=塗る]
あり余っている上に、さらに物を添える意のたとえ。大黒の尻に味噌。
辞書を引き、徳川天一坊の物語に重ねて考えてみると、「失敗する、失敗して面目を失う」という意味に解釈できるのではないだろうか。
また、「伊豆味噌」というワードは講談「寛永三馬術」の中にも見ることができる。ただし、ここで登場する伊豆守は天一坊の伊豆守とは別人、松平信綱である。
『寛永三馬術 上編』桃川實 講演/三芳屋出版部[19--]
大きにどうも伊豆守殿弱った、此時に散々味噌を附けたけれども智恵のある人が附けた味噌だから今以て頽らない伊豆味噌(柚味噌)といってね……是は話が違うが……伊豆守殿の仰せに、畏まって御家来山側藤太夫という者、早速桝屋忠兵衛方へ参りました。
天一坊と同様の意味で用いられているように思われる。
ただ気になるのは、伊豆味噌(柚味噌)とかっこ書きされている柚味噌の部分。これはもしや一つの意味だけではなく、もう一つ意味が掛けられている可能性があるかもしれない。
インターネットで調べてみると、静岡県のご当地味噌として、「金山寺みそ」「あいじろみそ」「伊豆みそ」なる商品があるようだ。柑橘類の生産地でもあるので当然「ゆずみそ」などもヒット。へえ~こんなにも種類があるのか~!味噌っておいしいよね!という横道にそれまくりそうになったのでいったんネット検索終了。
謎を残しつつも、「伊豆味噌」、なんだか洒落たタイトルじゃないかと思う次第です。
そして、連続講談にだれ場なし、わたしがいつも思うことです。伊豆味噌もしかり。
今月のわたし講談トピック
・再開館した江戸東京博物館は講談を聴くための情報がぎっしりだ。でも大混雑だよ。
・8月に向けて、戦争に関する講談を多く目にする。講談を介して平和に心を寄せる。
・貞寿先生の廃業に関するポストが優しい。





















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